伊藤さんのこと


涼しい北海道で「食べて、遊んでばっかりいたのか!」
って思われるのは心外ですので
これは、お仕事編!

どんなお仕事も大変ですけど
昆布漁も、本当に大変なお仕事です。
解禁の期間は、朝暗いうちから漁に出て、
帰ってきたら、大急ぎで干場(かんば)に並べて干して
乾燥が足りなければ、乾燥機を使い、
より分けて105cmに切りそろえて漁業協同組合に出します。
    
すべて手作業なので、この時期は身内全員がかり出されます。


昆布の流通の仕組みは、昔のお米と同じなのですよ。
すべての昆布は、いったん漁協へ納めなければなりません。
昆布が組合に荷受けされてから消費者に届くまでには、
多くの仲買人の手を渡り、
その度ごとに手数料が付加されているというのが現状です。
昆布の生産者の手に入る額の、数倍もの値段で店頭に並んでいるわけです。

倉庫を見せてもらいました。

箱1段が20kgです。
昆布の身の重さによって、1等から5等までに格付けされています。

今年の昆布の「値決め」は、つい最近終わったばかりです。
今年は、春先の低温と津波の影響で海の中も荒れていて
昆布も不漁で、ずいぶん高値が付いてしまいました。
10kgぐらいだけ買い付けてきました。






難しいお話はここまで。
今回は、昆布料理名人の伊藤さんにお会いするのがメインでした。
 

この伊藤さんは、知る人ぞ知るというすごい方なんですよ。
日本全国に
「伊藤さんのアレでなければなりませぬ」という熱狂的なファンがいるのです。
伊藤さんは、手間ひまかけて作ったものをあちこちへ送っています。
沖縄のアメリカ兵も「北海道のお母さん」と呼んで慕っています。
某プロ野球団の監督も「伊藤さんの鮭とばを選手達に食べさせたい」と頼んできています。
近所の一人暮らしのお年寄りへ、毎日おかずを届けてはります。
そして、一番すごいことは
伊藤さんはお金を受け取らないのです。
「わたしが作ったものを喜んで食べてくれるということは、
それですでにわたしは大きな幸せをいただいたことになるから」
とおっしゃいます。
代金をとってもらえないので、
みなさんお礼にいろんなものを送ったり、高級料理店へご招待してるらしいです。
(でもね、伊藤さんは「うちのごはんの方がいいな」って思いはるらしいです。ふふふ)

今回は、事前にお約束してあったので
いろんなものをご用意くださっていました。
作り方を教わって、お味見させてもらって
伊藤さんの波瀾万丈の人生のお話も伺って
本当に、心豊かになる時間を過ごさせていただきました。
おみやげもたくさん持たせてくださったので
クール宅急便で金沢へ送りました。
これらをお手本に、わたしも作ってみるつもりです。

今回の取材には、専属カメラマンがいたので、素敵な写真が撮れました。


「いももち」(冷凍庫から出してもらいました)
かぼちゃとよもぎもあってきれいです。
「たこのいずし」
 

「松前漬け」(樽の大きさにびっくりでした)
   

「トキシラズ」を焼いてくださいました。
「先生には一のヒレを焼いたよ」
って言わはって、でっかい「かま」を渡してくださいました。
お魚で一番美味しいところですよね。
 
脂がじゅわぁ〜、身はふっくら

「大根とにんにくの醤油漬け3年もの」
「いかの鉄砲漬け」
 

みなさまが毎年心待ちになさっているという「ふきみそ」(じゃこもはいってました)
こりっこりの「いかの塩辛」
 

「ふきの炊いたん」
お水は1滴もいれずに8時間炊いたものだそうです。
ごはんがすすむのよ。
ちなみに、北海道のふきはこのサイズです。
 




そうそう
伊藤さんのおうちのストーブついていました。





この美しい海のほとりの小さな漁村で
素晴らしい出会いをいただきました。
これからもずっと
おつきあいさせていただきたいと願います。